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2005/11/24

心宇宙に泳ぐ。-崩壊点#6-

何かと出逢う瞬間が、ある。
ほろほろと心の壁の一部が崩れ落ち、その隙間から、
新しい光が差し込んだり、未知の宇宙が開かれていくような。
蝙蝠は、そんな気配の匂う場所に飛んでいくのが好き。
そこには、新しい感覚を生んでいくような胎動を宿した、
子宮空間とも言うべきMother's Caveが待ち受ける。
耳を澄まして、心を研いで、日常の意識を零にして。
いざ、飛び込め。

今年6月83歳で急逝された現代美術作家 水谷勇夫氏の追悼イベントが、名古屋市中区大須の七ツ寺共同スタジオにて開催された。晩年の傑作「心宇宙のはざまにて」を復元展示。蝙蝠も特攻スタッフとして関わってきたLethe Voice Festivalの首謀者桑山清晴氏が、会場の音を担当した。

これは昨秋、蝙蝠も途中合流した、スイス・ローザンヌにあるStudio Arsenicのシェルタースペースにて、桑山氏が水谷氏の作品のためにレコーディングした音源がベースになっている。 今回の追悼展に併せ、水谷氏の未発表作品と題字がA4版ジャケットにあしらわれたコラボ作品『Lethe/Catastrophe Point #6』としてリリース(限定500部)。

800個以上もの陶片を天板からつり下げられた直径約270cmの球体は、勇夫氏のご子息であり美術家であるイズル氏と桑山氏が中心となって、3ヶ月かけて復元されたもの。今回の設置にも、およそ3日間を費やしたという。七ツ寺の会場内も、すべて漆黒の闇を湛えた超常空間に。

巨大な心宇宙の真下に寝ころび、そのふくよかな時と空間に抱かれる贅沢さ。鳥が飛び立ってゆく躍動感や宇宙を司るヴィーナスの存在をも想起させる、命の息吹迸る作品。 静と動の営みが音と空間と三位一体になって、心底の扉が開け放たれていく瞬間を、まさしく「体感」。

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2005/11/19

和の輪を継ぐ。-其の弐-

ひとつひとつ揃った円を整形しながら、
ひとつひとつ違っている。
DNAの増殖のよう。ひとつの家系に伝わる顔のよう。
生んじゃう、生んでいく、生まれていく。
この脈々とした、淡々とした流れに魂が揺すぶられる。
オーバルになろうが深底になろうがちゃぶ台になろうが。
「円」のたゆたいは同じ釜の飯を喰らっている。
伝統ってそういうものなんだよと語りかけてくる。
幾つもの輪が整然と収まる“入れ子”を眺めているうちに、
蝙蝠のへその緒が、びゅん、とフライの釣り糸のように
古の時空に飛んでいくような気がした。

二代目の正昌さんは、父の背と技を眺め追いつつ、
自分なりの進化のDNAをわっぱ宇宙に宿そうと精進し続ける。
父がいなければ彼は「それ」を生むこともなかったろう。
七つの子ならぬ七つの入れ子。
ぴしっ!と気持ちよく収まるように仕上げるには、
かなりの熟練を要する。まるで男女の和合のよう。
一筋縄ではひとつになれない。魚心と水心を呼吸して、と。
そして、杉は形を変えて再び、年輪を描きはじめる。

お弁当を食べ終えたら、ひとまわり大きい寸法のわっぱが
ひっくり返ってピタリと蓋に転身。
その繰り返し。
七つ子兄弟のせわしなさから生まれるような、
合理的な発想の“世話もの器”。
ああ、なんだか、涙が出ちゃう。
家族の円と和のループが、
両手に収まるほどの小さな宇宙の中、無限にひろがる。

職人って、特別な職業じゃないなあ。とても普遍的。
家族のルーツを示す、伝道師みたいなものかもしれないね。

写真は二代目・正昌さんと、江戸時代の入れ子わっぱ

(株)柴田慶信商店
http://magewapp.hp.infoseek.co.jp/
http://www.chuokai-akita.or.jp/magewappa/shibata/index.htm

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2005/11/17

和の輪を継ぐ。-其の壱-

11月に入るとぐっと冷え込んできて、早くも初冬の匂いが。
寒の季を迎えに行くかのように、蝙蝠は青森−秋田へ飛んだ。
百貨店で開催される職人展の取材で、週末の早朝より発つ。
初のセントレア、初の東北行脚。
行き先は秋田県の大館市なのだが、一旦青森空港まで飛び、
バスで1時間かけて弘前へ。そこから列車でさらに1時間。
黒胡麻たっぷりのしかない津軽せんべいをおやつに、
ガタゴト山間を抜けつつ、スローなローカル線情緒に浸る。
麗句でも何でもなく、心底ひなびてる湯治場の駅で、
りんごほっぺのおばちゃんたちが楽しそうに降りていく。

今回の取材先は、「大館曲げわっぱ」の職人親子。
父子相伝の伝統工芸士にフォーカスするという企画。
初代の柴田 慶信さん(65)と二代目の昌正さん(32)は、
工房を暖めて、蝙蝠一行の到着を待っていてくれた。
大館は、秋田音頭にも歌われるほどのわっぱの名産地。
奈良の時代まで遡る、歴史の深い伝統工芸のひとつだ。
曲げわっぱを作る職人のことを、「曲げ物師」という。

秋田杉の柾目の清廉さと、木の粉の懐かしい香り。
初代の手掛ける曲げわっぱの特徴は、伝統の上に工夫を重ね、
オリジナリティを生かした柔和で機能的なデザインにある。
最後の一粒までしゃもじでお米をすくえるよう、
お櫃の底板にろくろで丸みをつけるという工夫もそのひとつ。
'88年には、「グッドデザイン商品」にも認定されたヒット作。
桜の皮で縫う継ぎ目も、伝統の意匠をベースにしながら、
雄雌の蜻蛉を向き合わせて、「田」の字を表すといった
独自の“遊び”を施し、シンプルな曲げ物に表情を加える。

伝統工芸のしきたりに苦汁を舐めさせられた時期も。
だが、その伝統に畏敬を捧げ、楽しさに打ち震えながら、
「和ってなんだろか?」と自問し続ける若々しさが、爽快。
なーんて楽しそうに手を動かすんだろ。
なーんて真摯に「わっか」を繋いでいくんだろ。
チベットやドイツや中国奥地にまですっ飛んでいって、
見たい見たい、知りたい知りたい!とだだをこね(笑)
ついには世界中のわっぱを集めて展示館まで作っちゃった。
蝙蝠の感動のわっかは幾重にも重なって、入れ子状態に。
おっちゃんと2人、各国のわっぱに次々と鼻先突っ込んで、
話に花が咲いちゃったのでした。

夜はおっちゃんたちに、地元の店できりたんぽ鍋をご馳走に。
「きりたんぽかああ」とタカをくくってはイケナイ。
取材時から何度も何度も電話を入れていたワケが、
店に着いてようやくわかった。私たちの到着を見計らって、
名産の比内鶏をツブしてくれていたのだった。
これぞまさしく、“馳走のこころ”。
新米の時期2〜3ヶ月しか営業しないというこだわりぶり。
わっぱといい、きりたんぽといい、
秋田は秋の田んぼの実り豊かなお米の国なのだった。

「手のぬくもり・熟練の匠の技 日本の職人展」は、
松坂屋本店7Fにて12月14日(水)〜20日(火)開催。


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2005/11/08

三ツ星の殿堂。-京大西部講堂-

つい最近、日頃お世話になっているクライアントのデザイナーさんにお呼ばれして、新居のお披露目会へと飛び立った。夫妻の愛猫はアビシニアン。宝物をせっせと集めてくるクセがあるというので、蝙蝠とはてっきり馬(?)が合うと思ったのに、つれなくも雲隠れ。いいのよ、その代わりマリオットアソシアホテルで誂えたパティシエ松島 義典氏自慢のショコラもおあずけなのよ。鼻血ブーしちゃうんだから。
猫の尻尾を追っかけるのは諦めて、ブログ開設記念オープニング第2弾として、蝙蝠にとって縁の深い京都に再び飛来。

年末が近づくと恋しくなる場所がある。その名は「京大西部講堂」。若かりし頃蝙蝠は、名古屋からせっせと京の都に通い詰め、当時のPUNKをはじめ70年代よりアングラ、サブカルの殿堂としてその名を地の底に向けて轟かせていた、廃屋寸前の煤けた埃くさい大小屋?で、にわかイベントスタッフとして夜通し駆け回っていた。
百万遍の交差点も、おそらくは百万遍ぐらい渡ったと思う。西連協(西部講堂連絡協議会)の兄さん姉さん方の炊き出し飯を掻き込み、パンチドランカーのように叩きのめされ凹んだ薬缶で温めた安酒を流し込み、ユンケル2000円の贅沢なトリップに酩酊しつつ、毎年の大晦日も轟音ライブの樽に漬かっていた。

80・90年代の終焉も、すべて此処で迎えた。1989年の昭和天皇崩御の際には、関西PUNKシーンの雄ザ・コンチネンタル・キッズしのやん(現ROCK A GOGO パラダイス企画主宰)よりお声をかけていただき、世の中が自粛自粛と暗黒都市化して盛り上る?中、タテ看板・バリケード封鎖、オニに角棒という私たちの世代にはおよそ時代錯誤ともいえる趣の中でライブ出演もいたした。 後、1997年には、京都のPUNK女帝故ランコ嬢の追悼イベントにて、カルメン・マキ&OZの20年ぶりの“一夜伝説”を、奇しくもステージ上からイントロデュースするお役目も。

“ROCK A GO GO”と呼ばれる、スタジオで楽屋でライブ現場でトリップルームでという、からくり変化のクラブハウスも今なお健在。この京の魔界の混沌たる結界内で過ごした日々があったことで、多少のヘヴィな環境にも「西部よりはマシ」という、失礼極まりないサバイバル概念が生まれたことに、今では感謝している(笑)

さて、その紆余曲折、波瀾万丈、奇々怪々に満ちた西部も、今やレイブ空間として次世代の集会拠点になりつつある。中でも蝙蝠の紅眼にしかとロックオンされているのは、「P-hou」という音楽イベント。昨夏もサウナ状態の2DAYSイベントにでかけた。今秋は蝙蝠ブラザーのLOSALIOSドラマー、中村達也も出演すると本人より知らせがあり、駆けつける段取りをしていた矢先、出演予定のDMBQがUSツアー先で交通事故に遭い、残念なことにヘルプドラマーとして同行していたチャイナ・マナさんが逝去。2日目の開催が危ぶまれている。女っぷりの立つ稀少なピュア・ロック魂を宿した人だっただけに、蝙蝠にとってもショッキングな知らせに。
この場を借りて、心よりご冥福をお祈りいたします。

西部講堂の屋根に今も浮かぶパルチザンの☆☆☆。彼女も、西部講堂の真上に煌めく☆のひとつになって欲しいなあ。

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2005/11/06

柘榴な陶酔。-Santa Maria Novella-

お肌のゴールデンタイムには、ギラギラ夜巡りゴールデンバット!になってしまう蝙蝠が、目覚めて真っ先に飛んでいくのはバスルーム。

そう、大好きな香りに誘われて。まだ微睡んだままの肌に滑らせるのは、『サンタ マリア ノヴェッラ サポーネ・アル・メログラーノ』。バスサイズ250gのバブルバーはしっくりと手になじんで、お香のような翳りと甘さのある香りが、肌にしっとりと擦り込まれていく。

5月に玉三郎・獅童出演の舞踊会を観に、京都・南座へ。
翌日、小雨に肩を湿らせながら向かった先は、『サンタ・マリア・ノヴェッラ』の京都店。メディチ家やナポレオン御用達、13世紀発祥のイタリア・フィレンツェにある教会併設の老舗薬局。かの“レクター博士”も愛用していたのは有名な話。彼のお墨付きなら、そのノーブルな魅力は言うまでもなく。

四条高倉西桐院通りにあるショップには、国内で唯一オーガニックのリストランテが併設されていると聞き、ランチをそこで楽しむことに。新鮮な生海苔を使ったライトなパスタコース。旅先だからと、アペリティフに白ワインを一杯頼んじゃうところが、やっぱり蝙蝠的?

町屋をリノベーションした名残なのね、この奥に長い造りは。

シェフは若く、スポーツマンらしい快活さでしなやかに料理を捌き、さらに若いスタッフたちもキビキビとよく動いて、その気配だけでも気持ちがいい。時々、私たちへ視線を向けて微笑むことを忘れないところが小ニクいな。

ほろ酔いのまま、こぢんまりとしたショップで美しいラベルやフォルムに彩られた化粧瓶を眺める。目に止まったのは、新入荷の柘榴シリーズ。匂いに過敏な蝙蝠にはやや強めの芳香に感じたけど、夏が近づいていたので迷わず石鹸を手に取った。

「フィレンツェのクラシックな香り、ざくろの石鹸は古くからの製法で時間をかけて丁寧に作られています。19世紀から伝わる道具を使って一つ一つ手で型どられた石鹸は60日間キャビネットでじっくり乾燥させて出来上がります。さらにまた、人の手によって注意深くラッピングしていきます。こうして作られる石鹸は泡立ちがクリームの様に細かくモイスチャー効果に優れているのです」『サンタ・マリア・ノヴェッラ』』HPより

このところ、男女問わず「いい匂いがする」と言われることが多かったりして、蝙蝠、いい気になってるのだと思う(笑)フレグランス・アレルギーだったくせに、密やかになら味方につけられそうな気がして。きっと、やっと、そんなお年頃になったってことなのかしらん。

子どもの頃、おじいちゃんからよく弾けて熟した柘榴をもらい、ギター工場の段ボール箱の上で恍惚と食べ散らかしてた。そのゾクゾクと血の泡立つようなルビー色の幻影を、毎朝肌に纏っている。そんな陶酔感が、蝙蝠の朝の目覚めを心地よくしてくれるのかもしれない。

名古屋では松坂屋本店南館B1Fで。本日X'mas giftの撮影で実物を拝見、EXヴァージンオリーヴオイルやリキュールも注目。

kusari

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2005/11/04

A Passion for Living

2005年よりyapeusにてPHOTO DIARYをスタート。
テスト走行、身近な仲間向けのプチ公開バージョンのため、
人目を意識しない日々の心象を自由に綴ることができた。
そろそろお次のステージ、新たなネットベースメントへ。
日記ではなく、テーマもセレクトの上で随時更新です。
今日の貴方の扉に響くようなお話があれば、幸い。
お初に袖摺りあう皆さま方も、どうぞよろしく。
Here we go!

alice

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