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2005/11/17

和の輪を継ぐ。-其の壱-

11月に入るとぐっと冷え込んできて、早くも初冬の匂いが。
寒の季を迎えに行くかのように、蝙蝠は青森−秋田へ飛んだ。
百貨店で開催される職人展の取材で、週末の早朝より発つ。
初のセントレア、初の東北行脚。
行き先は秋田県の大館市なのだが、一旦青森空港まで飛び、
バスで1時間かけて弘前へ。そこから列車でさらに1時間。
黒胡麻たっぷりのしかない津軽せんべいをおやつに、
ガタゴト山間を抜けつつ、スローなローカル線情緒に浸る。
麗句でも何でもなく、心底ひなびてる湯治場の駅で、
りんごほっぺのおばちゃんたちが楽しそうに降りていく。

今回の取材先は、「大館曲げわっぱ」の職人親子。
父子相伝の伝統工芸士にフォーカスするという企画。
初代の柴田 慶信さん(65)と二代目の昌正さん(32)は、
工房を暖めて、蝙蝠一行の到着を待っていてくれた。
大館は、秋田音頭にも歌われるほどのわっぱの名産地。
奈良の時代まで遡る、歴史の深い伝統工芸のひとつだ。
曲げわっぱを作る職人のことを、「曲げ物師」という。

秋田杉の柾目の清廉さと、木の粉の懐かしい香り。
初代の手掛ける曲げわっぱの特徴は、伝統の上に工夫を重ね、
オリジナリティを生かした柔和で機能的なデザインにある。
最後の一粒までしゃもじでお米をすくえるよう、
お櫃の底板にろくろで丸みをつけるという工夫もそのひとつ。
'88年には、「グッドデザイン商品」にも認定されたヒット作。
桜の皮で縫う継ぎ目も、伝統の意匠をベースにしながら、
雄雌の蜻蛉を向き合わせて、「田」の字を表すといった
独自の“遊び”を施し、シンプルな曲げ物に表情を加える。

伝統工芸のしきたりに苦汁を舐めさせられた時期も。
だが、その伝統に畏敬を捧げ、楽しさに打ち震えながら、
「和ってなんだろか?」と自問し続ける若々しさが、爽快。
なーんて楽しそうに手を動かすんだろ。
なーんて真摯に「わっか」を繋いでいくんだろ。
チベットやドイツや中国奥地にまですっ飛んでいって、
見たい見たい、知りたい知りたい!とだだをこね(笑)
ついには世界中のわっぱを集めて展示館まで作っちゃった。
蝙蝠の感動のわっかは幾重にも重なって、入れ子状態に。
おっちゃんと2人、各国のわっぱに次々と鼻先突っ込んで、
話に花が咲いちゃったのでした。

夜はおっちゃんたちに、地元の店できりたんぽ鍋をご馳走に。
「きりたんぽかああ」とタカをくくってはイケナイ。
取材時から何度も何度も電話を入れていたワケが、
店に着いてようやくわかった。私たちの到着を見計らって、
名産の比内鶏をツブしてくれていたのだった。
これぞまさしく、“馳走のこころ”。
新米の時期2〜3ヶ月しか営業しないというこだわりぶり。
わっぱといい、きりたんぽといい、
秋田は秋の田んぼの実り豊かなお米の国なのだった。

「手のぬくもり・熟練の匠の技 日本の職人展」は、
松坂屋本店7Fにて12月14日(水)〜20日(火)開催。


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