古今東西安藤忠雄 −ベネッセハウス−
瀬戸内海に浮かぶアートの要塞、ベネッセアートサイト直島。
やはりマストはベネッセハウスでの宿泊と、地中美術館。
どちらも、安藤忠雄建築を代表する「作品」ゆえ、
館内撮影は基本的に御法度だ。
文字通り小高い山中に“埋まってる”地中美術館に至っては、
エントランスに続くアプローチ門前から不可。
蝙蝠の瞼シャッターと網膜に焼きつけるしか、術はない。
高松のイサム・ノグチ庭園美術館も然り。いいのよ、別に。
写真にいちいち残さなくても、無問題。
ジェームス・タレル作品だって、
イサム・ノグチの仕事場だって、
あれはその場体験してみにゃ伝わってこない磁力。
写真や図録じゃ全然意味がナイ。抜け殻でしかない。
「記録より記憶に残す旅」って。上等じゃあないですか。
ホテルがそのままコンテンポラリーミュージアム、
なんて贅沢な、オトナの遊び場なんでしょう。
浜辺にも、山の中腹にも、ホテルの外も中にも、
そしてくつろぎの客室までもがアートギャラリー。
海も空も砂も木々も野草も、建物が映しだす影や色、
なんもかんもが、遊び=アートな仕掛けやネタに。
それに気づいたり、見つけたりするのがまた、楽しい。
気づかない人もいっぱいいるだろし、
気づけなかったことも、いっぱいありそう。
蝙蝠がよく夏休みに泊まった民宿周辺に基地を作ったように、安藤忠雄もやらかしちゃったか!
よほどのゴーマンかメガロマニアじゃないとできないね。
建築家って。
蝙蝠部屋は、「Museum room202」。
room335は、ラリー・カールトン。
「文化大混浴 扇のためのドローイング/蔡國強」。
眼下の海辺沿いに垣間見える、
奇岩に囲まれた海辺の野外露天風呂、“文化大混浴”。
蝙蝠たちがその風呂に入るのも、アートコラボなんだと。
四季の風情が墨で描かれた4部作。
和でも洋でも中でもない、ライト風味が愛らしい。
ミュージアムショップで記念に買ったのは、「春の扇」。
サンセットを眺めながらのウェルカムシャンパン。
館内のギャラリーツアーのヘルプ解説を、
ホテルスタッフがやってくれるあたりがアットホーム。
いらんようないるような。でも。
聞いてみないとワカラン、作家のメッセージとやらもある。
解説されるとよけいにワカランということも、当然ある。
蝙蝠はシンプルに「好み」と「カイカン度」を基準に“体感”。
安田侃 「天秘」の上に寝ころんで、
切り取られた夕空を放心で眺める蝙蝠たち。
作品タイトルがエエね。エエね。
石の円みがしっとりやわらかくて、化石になれそう。
ディナーのひとときをエスコートしてくれたのは、
世界の水平線を撮った屋外のフォト作品と、窓いっぱいに広がる瀬戸内海の水平線との夕景コラボレーション。
店内に響く話し声のディレイがとっても絶妙で、
音楽がないことが、かえって耳をよろこばせる。
アメニティは英国のオーガニックブランド。
ライティングデスクの引き出しを開けると、
聖書といっしょに直島ゆかりのアートブックが数冊。
夕食後には、お部屋に“お夜食”が。
ちょっとしたサプライズが嬉しい感じ。
メッセージカード付きのギフトボックスの中身は、
柚の香も上品な、おいなりさんが4つ。
豪華晩餐の〆のばら寿司さえ食べきれず、
セコセコ、お部屋に器事運んでいただいた蝙蝠たち。
翌朝テラスで、優雅な朝食としてセッティング。
タダ飯オーライ、ムード作りはお手のもの。
おいなりさんに添えられていたカードの裏に、
「Thank you!」の走り書きを残して、部屋を発つ。
【蝙蝠思案箱】
本館のMusiumとOvalに加え、海岸に面して新館2棟が5/20にオープン。それに先駆け、蝙蝠たちが宿泊した翌日に内覧会があった模様。黒塗り自動車が何台も連なって。
こちらはアートというより完全に、リゾート施設。今後は旅行会社のツアーやリゾート客がわんさか訪れて、さぞかし賑やかになるんだろうなあ。
これまでは、直島随一の大型宿泊施設であるベネッセハウス本館でさえ、客室数はわずか16。しかも、良くも悪くも“現代アート”という括りがあるせいか、小さい子ども連れや団体は少なく、私が見た限り、心地よく過ごすためのマナーをわきまえたアート・トリッパーが多かったように思う。
そうでなかったとしても、商魂剥き出しで出迎えたりしない、「素にして野だが卑ではない」 直島の人々の“もてなしの心”が、旅人たちの「掻き捨て恥」や「食えない気取り」をやんわり抑制してきたのじゃないかしら。
さて、これからの直島。どのように“歴史はその時動いちゃったり”していくんでしょね。
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