消えゆく昭和。-キャピトル東急ホテル-
初来日のビートルズが記者会見をした「真珠の間」、
ジョンもこっそり抜け出したりしたスウィートルーム。
世界の要人達も信頼を寄せた、「靴磨きの匠」。
毎年赤ちゃんを連ねて泳ぐ、カルガモ親子。
小泉前首相が深呼吸した日枝神社の杜。
魯山人の料亭「星ヶ岡茶寮」の名残と気風。
ドイツ人シェフが残したパンケーキの香り。
「月下独酌」の一節が綴られた、李白バー。
手にずっしりと重い、真鍮のルームキー。
カーテンではなく障子とふすまのある客室。
質素だが美しい、“日本の品格ともてなしの心”。
日本で初めての外資系ホテルとして誕生し、
20年後東京ヒルトンから『キャピトル東急ホテル』へ。
昭和の名残を色濃く残すこの老舗ホテルが、今月11月30日に43年間の歴史に幕を下ろし、閉館する。
名古屋東急ホテルのグルメガイド「DÉLICE」の制作に携わっている蝙蝠も、現マネージャーがキャピトル出身だったことからこの話を聞き、初夏の出張時に宿泊したばかり。以前の蝙蝠ブログでも翌朝の朝食写真を紹介した。
美食の殿堂ホテルとして名高いこのホテルで、もっとも活気に溢れているのが、「コーヒーハウス オリガミ」。
ファミリーレストランの原点とも言えるカジュアルでリーズナブルなスタイルながら、ホテルならではの料理へのこだわりとサービスが息づく。永田町の“センセイ”方も目がないと言われる「排骨拉麺」をはじめ、歴代シェフが残していった名物メニューが多彩で、食事だけの利用客も多いとか。
残念ながら今回の出張では宿泊の都合がつかなかったので、せめて最後のランチをと寄ってみた。
お昼時のピークを越えたというのに、数人待ちの人気ぶり。禁煙席を頼んだら、しめしめ、カウンター席に案内された!ここからは調理の様子も眺めながら食事ができるんですよねー。
最後の一食となると、メニュー決めは真剣。排骨拉麺も捨てがたかったけど、昨夜のアルタード・ステイツ@新宿ピットインのライブ後、doubtmusicの沼っちさんと真夜中の韓国焼肉へ行っちゃったので、肉々しいメニューはちょっとカンベン。ってことで、隠れた人気のインドネシア風フライドライス(¥2,310)をオーダー。
“ナシゴレン”と表記されているけど、焼き飯じゃなくてピラフという感じ。すんごいボリュームです!ぶりぷりの海老とハムとチキンがゴロゴロ。smallにすれば良かったかな。別添えの醤油と辛いサンバル、トロトロの目玉焼きを崩してまぜまぜ。うーん、これはこれで美味しい!
右隣ではOL風の女性が、りんごのパンケーキを、左隣では外国人男性がスパゲッティ ボロネーズを食べていた。どっちもめちゃんこ美味しそう!!
オリガミメニューが食べられなくなるのを惜しむ声に応えて、ホテル閉鎖後も赤坂見附の新店で営業が存続されるらしい。レストランがテナントでホテルに入ることはあっても、ホテルの名店がレストランとして独立するケースは珍しいのでは?それだけ長く愛され続けてきたってことですね。
スタイリッシュな外資系ホテルが大人気だけれど、昭和の気概と和の心が息づくこんなホテルも、やっぱり捨てがたいものですね。老朽化はやむを得ないけど、高層ビルの中のホテルに様変わりしちゃうのは、無責任ながら少々寂しい想いです。
以前の宿泊の際、真夜中にモジュラーケーブルとLANケーブルを交換しに来てくれた、初老のフロントサービスのおじさん、ありがとね。さようなら。
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